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信州の匠を訪ねて

07 大工 羽田幸司さん(羽田建築)

言葉ではなく技で魅せる
妥協できない性分の、若き職人


大工一筋22年の羽田幸司さん。
二年前に先代を継いで羽田建築代表に。
二人の息子と妻と暮らす。40才。

 

長野駅前から善光寺へとつづく表参道を歩くと、両側に建ち並ぶ灯篭が目に留まる。
2009年の善光寺御開帳に合わせて復元された四十八基の灯篭。
この建立を手掛けたのが、当社の施工パートナーでもある羽田建築さんだ。

同じく善光寺表参道にある、数寄屋造りの雅やかな茶室棟「竹風堂・知音亭」の建築も羽田さんであり、長野市景観賞を受賞するなど華々しい実績を持つ。

その技の確かさに定評がある、今年40才になったばかりの若き匠を訪ねた。

 
羽田さんが手掛けた、善光寺表参道の灯篭(写真左)と、竹風堂の和食どころ・知音亭(写真右)。
灯篭は高さ3.5m、総木曽ヒノキづくりの仕様はもとより、羽田さんの手仕事の美しさに注目してほしい。

 
仕上がりの美しさに現れる、妥協のない性分

「工期や予算に制限がある現場でも、これでいいやと思えないたちで。
 面倒くさい注文ほど、正直、燃えます」と話す羽田幸司さん。

当社とのお付き合いのはじまりは、長野支店を開設したばかりの2009年、建替えのお宅の仮住まいを施工していただいたこと。その仕上がりの美しさに、新築後に取り壊すには勿体ないレベルだとスタッフ一同驚愕した‥というエピソードも、羽田さんの性分を知ると頷ける。
羽田さんを知るスタッフは、早くて美しい仕事をする大工さん、と誰もが口を揃える。

 

大工の父の背中を見ながら

先代の父から羽田建築を継いで、二年目。

大工としてのルーツは、幼少期にさかのぼる。「幼い頃から、時間さえあれば父に連れられ工事現場へ。遊び半分に掃除を手伝ったり、木工の真似事をしたり。現場が遊び場でした」。
知らず知らずのうちに現場のイロハが体に染みついた。

高校卒業と同時に職業訓練校で木造建築を学び、18才で大工になった。
家でも、仕事場でも、常に父親と行動を共にする日々。
息苦しさも感じた1年目は、三週間の家出をしたこともあるという。
「大工の仕事に固執するつもりはなかったんです。でも違う道に進むことはなんとなくできなかった。何だかんだ言って、現場仕事が好きなんでしょうね」。

技術が身に付くに比例して面白さを感じ始めた三年目、親方である父から材料の墨付けを一任されるようになった。
墨付けとは、加工の下準備として木材に目印を付ける作業のこと。どの材をどこに用いてどう刻むかを見極め、墨壺を使いこなして狂いのない線をひく。一人前の大工の証ともいえる工程を三年目にして任されたことに、その資質の確かさが伺える。


墨出しを行うための大工道具「墨壺(すみつぼ)」。
墨を浸した糸を張って指ではじくことで、木材に直線を引く。
思い通りに綺麗な線を描くためには、熟練の技が必要。


 

(後編は12月下旬に更新します)