
住宅性能と品質
"工房信州の家”は、様々な性能を兼ね備えた、高品質の住宅です。
皆様に安心して快適に末永くお住まいいただくため、日々設計・施工に力を注いでいます。
“工房信州の家”の性能の高さはどのくらいか?
そもそも工房信州の家が言う『高性能』とは、どれ程のレベルを指しているのでしょうか。
下の表は、長野県が定める「ふるさと信州・環の住まい」の認定基準、国が定める「長期優良住宅」の認定基準と、工房信州の家の標準仕様での性能を比較したものです。
【性能基準比較表】
長期優良住宅の家をつくるには、耐震性・省エネルギー・長寿命化・維持管理の4項目についての基準を満たす必要があります。
そして、環の住まいに対応した家をつくるには、省エネルギー、住宅の長寿命化、維持管理、バリアフリー化の4項目について基準を満たすと共に、
表には記載していませんが、県産材の利用、自然エネルギーの利用などの取組の評価も満たす必要があります。
工房信州の家は、長期優良住宅と環の住まいの両方の性能基準を標準仕様で満たしているのはもちろん、さらなる安心・安全な住まいを求めて、耐震・省エネ・長寿命・維持管理の4つで【最高等級】をクリアしています。
それでは、工房信州の家が持つ性能は具体的にどのようなものか、そのために設計・施工上でどんな工夫をしているのかをご紹介していきます。
1.最高レベルの耐震性
工房信州の家の「広がり間取り」を活かしながら【耐震等級3】を実現しています。
例えば、壁をたくさん作れば強度は上がりますが、空間のつながりや開放感は失われてしまいます。
火打ち梁を多く設ければ強度は上がりますが、蜘蛛の巣のように入り組んだ構造体では美しくありません。
広がり間取りと耐震性、2つの要素どちらも妥協せずに両立できるか、プランニングの腕の見せどころです。
長期優良住宅は「等級2」ですが、工房信州の”は最高等級の等級3を標準で取得しています。
耐震等級は、建築基準法が定める基準に対する強さで評価されます。
壁量や壁配置のバランスが決め手
構造計算は外注せず、すべて自社の専門スタッフが行っています。
下の図は、構造計算ソフトを用いて、等級3を満たすように構造材を配置したサンプルです。
壁の偏りのない配置を実現するために、建物の編心を確認したり、床・屋根のかたさを示す床倍率の確認をします。そして様々な角度からチェックを行い、総合的にバランスの取れた建物が「等級3」と判定されます。
ホームズ君 壁配置
ホームズ君壁量計算
等級1と等級3は、どれほど違うのか?
耐震等級1と等級3では、地震が起きた場合、建物の揺れにどのような違いがあるか。揺れ方の比較動画を見てみましょう。
ホームズ君 地震被害想定
左:耐震等級3 右:耐震等級1
極めて稀に起こり得る(数百年に1回は起こり得る程度)の大きさの地震にてシュミレーション
同じ地震でも、等級1と等級3とでは揺れ方がこれほど違います!
等級1の建物は揺れに耐える力が弱いため、左右に大きく揺れています。一方、等級3の建物は、強さを増した壁・床によって揺れを軽減できていることが分かります。
また揺れを止めた後も、等級1の建物は衝撃を受けた分、大きく傾いてしまっています。
このように揺れに大きな差が生まれると、実際の建物が受ける被害と中に居る人間への危険性はどれほど変わってくるか・・・比べればやはり、等級3の建物にしたいと思いますよね。
安心はまず基礎から
工房信州の家は、頑丈なスラブ基礎です。細かな間隔で基礎配筋を組み、全面をコンクリートで覆います。
建物はコンクリート版に載る形状になるので横揺れ(水平力)に強く、地震が起きても基礎が一体となって動くことで建物損傷を抑え不同沈下に対しても効果的です。
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軸組構造+耐力パネルによる耐震性
全棟にエアパスソーラー工法を採用している工房信州の家。
壁の中に通気層を設け、太陽熱と自然の風を利用するエアパスソーラー工法は、実は地震に対しても大きな力を発揮するのです。
粘り強さのある長野県産の無垢材で梁・柱を組み合わせて骨組みをつくり、壁には耐力壁(地震などで建物にかかる水平力に対抗するための壁で、間仕切壁とは区別される)を外張りしています。
伝統工法による「木造軸組」に「壁面強度」を融合させることで、建物の変形を抑え揺れに耐えることができ、通常の在来木造住宅に比べてはるかに高い耐震性を備えているのです。
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しかし、だからと言って、ただたくさん壁を作れば良い家になるかと言えば、決してそうではありません。
信州の豊かな自然と住まいをつなぐ気持ちの良い開口部を犠牲にすることなく、基本構造(架構)をしっかりと守り、バランスよく耐力壁をつくり強度を保つ。
エアパスソーラー工法に特化して実績を積んだ工房信州の家だからこそ、その設計・施工技術に自信をもっておすすめできるのです。
耐震等級3のための施工方法
ホールダウンアンカー |
筋かい |
面材耐力壁 |
鋼製火打金物 |
検討した図面をもとに、現場ではホールダウン金物(基礎と土台を筋結する)、火打金物(床・屋根面の隅角部に設置)、筋かい、面材耐力壁、柱梁を接続する金物等を設置していきます。このようにして、計算した強さを確保できるように施工します。
木造住宅の強さの秘密
そもそも、木造住宅は地震に弱そうなイメージを持っていませんか?
実は、木材は、鉄よりもコンクリートよりも"強い"のです。これは、木材が他の材に比べて圧倒的に"軽い"ことに関係しています。
同じ建物をつくるときにも、材料によって建物の重さは変わります。地震の時に受けるエネルギーは建物の重さに比例するため、同じ震度でも建物が軽ければ軽いほど、受ける負荷は小さくなるのです。
また、それぞれの材について、重さ当たりの強さを比較してみましょう。
下の図は、材料を引っ張って引きちぎれにくいか(引っ張り強さ)と、材料を押してつぶれにくいか(圧縮強さ)の二点について比較したものです。
同じ重さで比べると、例えばスギ材の引っ張り強さは鉄の約4倍、圧縮強さはコンクリートの約6倍になります。つまり、鉄やコンクリートが木材と同じ強度を確保するには、木材の何倍もの重さが必要ということになります。
地震に強い住宅をつくるなら、"軽さ"と"強さ"を兼ね備えた木材が一番なのです。
各種材料の重さあたりの強度比較 |
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2.省エネルギーと断熱
ランニングコストがかからない家
平成27年4月より住宅性能表示制度の改訂がありました。以前の省エネルギー対策から、断熱等性能等級と一次エネルギー消費量等級の二つが導入されました。
断熱等性能等級について、長期優良住宅で必要な等級は最高等級4であり、工房信州の家も最高等級4を標準としています。
省エネ基準の見直し等に伴う改正/国土交通省資料より
断熱等性能等級が高ければ、それだけ断熱性能の高い建物になります。
断熱性能が高ければ冷暖房費の節約にもつながるので、日々の生活にも関わる等級と言えるでしょう。
全国の断熱水準は?
ところで、全国の省エネルギー対策等級の割合はどのようになっているのでしょうか。
下の図の通り、戸建住宅は等級4の住宅が年々増加傾向にあり、等級1及び等級2は減少しています。
断熱性能の水準は年々目に見えて上り、家づくりを考える方々の「住宅の省エネルギー」に対する意識が高まっています。
等級4を満たす基準値は長野県内でも異なる
要求される断熱性能は、国内の寒い地域と暖かい地域とでは異なるのはもちろん、県内でも市町村によってことなります。また、同じ市町村の中でも、建物形状や規模によって基準を満たす断熱材が異なることもあります。
断熱性能の検討方法
工房信州の家の断熱性能は、断熱材の種類や厚さ、窓の大きさから算出した値を用いて算定しています。
住宅の外皮の熱性能を示す値は、外皮平均熱貫流率(UA値)といい、UA値が小さいほど熱が逃げにくく断熱性能の高い建物になります。
また外皮とは、熱的境界になる外壁・床・天井・屋根・窓・ドアなどを指し、間取りや屋根のかけ方、窓の大きさなどで外皮面積は異なります。
熱的境界とは一般的に断熱材が入っている様な場所をいい、住宅の内と外の境界を指すことが多いです。
ホームズ君外皮計算
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このような計算を行い、それぞれの住宅ごとの条件をもとに断熱材の厚さを決め、等級4を満たす建物を計画します。
全棟自由設計の工房信州の家では、一棟一棟の条件を検討し、最高等級を満たす断熱性能の高い住宅をご提供しています。
3.維持管理
「維持管理」とは、住宅の排水管・給水管・ガス管の全面的な交換が必要となるまでの期間内に実施される点検・清掃・補修をいいます。
そして、日常における維持管理(点検・清掃・補修)のしやすさが等級ごとに細かく設定されています。
この維持管理等級で、工房信州の家は最高等級3を標準としています。
長く住み続けていただくには、構造の劣化を防ぐ部分、劣化した時に補修を必要とする部分、劣化した時に交換を必要とする部分などがあります。
ここでは、劣化した時に構造躯体に影響を及ぼさずに配管の交換ができる配管方法や設備の設置方法について紹介します。
維持管理対策等級3(最高等級)の取り組み
構造躯体に影響を及ぼさずに配管の維持管理が行えるよう、基礎の立ち上り部分等の貫通部を除き、配管をコンクリート内に埋め込まないようにしています。
貫通が必要な場合は写真のようにあらかじめ筒状の管(スリーブ)を埋め込み、補強筋を入れて施工します。
4.劣化対策
劣化対策は具体的に何をするの?
「劣化対策等級」とは、建物の劣化(木材の腐朽等)のしにくさを評価し、等級により以下のように分けられます。工房信州の家では最高等級3を標準としています。
- 劣化対策等級3…構造躯体が3世代(75年~90年)もつ程度の対策 ※長期優良住宅の求める等級
- 劣化対策等級2…構造躯体が2世代(50年~60年)もつ程度の対策
- 劣化対策等級1…建築基準法に定める対策
長く住み続けていただくには…
長く住み続けていただくには、構造の劣化を防ぐ部分、劣化した時に補修を必要とする部分、劣化した時に交換を必要とする部分などがあります。
建物の骨格をつくる構造躯体は、使われている材料が湿気や大気汚染物質などの影響を受けて、腐ったり錆びたりして劣化してしまう部分です。
ここでは、構造躯体の柱や壁体内の下地材、筋かい、合板、土台、浴室・脱衣室部分の劣化を防ぐ方法について紹介します。
劣化対策等級3(最高等級)の取組み
①外壁の軸組等の防腐防蟻
外壁を通気構造とし、かつ、外壁の1階部分にダイライトMSを使用、柱、柱以外の軸材・下地材にJASで定める耐久性区分D1の樹種材を使用、そして小径12㎝以上の材を使用することで等級の基準を満たしています。
②土台の防腐防蟻
土台に接する外壁の下端に水切りを設け、かつ、土台には径12㎝のヒノキ材を使用して、防腐防蟻上有効な処置を行っています。
③浴室・脱衣室の防水
浴室の軸組等・床組・天井、脱衣室の軸組等・床組は、防水上有効な仕上げの施工を行うか、JISA4416に規定する浴室ユニットの設置のいずれかをして防水措置をしています。
④地盤の防蟻
基礎の内周部及び束石の周囲の地盤には、鉄筋コンクリート造のべた基礎にて施工します。立上り部分とスラブ部分を一体にコンクリートで打設することで、防蟻に有効となります。
⑤基礎の高さ
地面から基礎上端までの高さを40㎝以上確保します。
5.高齢者等への配慮
高齢者の生活に必要な対策
「高齢者等配慮対策等級」とは、高齢者等の移動及び介助のしやすさにより、等級の基準が決められています。
この等級は等級1から等級5に分けられており、現在の生活のしやすさと将来の高齢者の生活のしやすさを考慮して、工房信州の家では等級3を標準としています。
建物の中で基準が定められている場所はいくつかあり、代表的な場所のご説明をしたいと思います。
①段差解消の基準
宅内の床は、認められる段差を除き、段差のない構造にすることが求められます。
生活空間内で認められている段差には、玄関の出入口の段差、玄関の上がりかまちの段差、浴室の出入口の段差などがあります。
②階段の安全性の基準
階段の勾配の基準、蹴込み(踏板の入り込んだ部分)の寸法、階段の曲がり部分がある場合の踏面(足を載せる板の上面)の寸法などが決められています。
この基準を満たすことで、一般的な住宅では建築基準法の基準にも適合することになります。
③手すりの設置の基準
手すりは、便所、浴室、玄関、脱衣室それぞれに、設置基準が定められています。各部屋を使用する際の動作に合せた手すりを、適切な位置と高さに設置します。
④通路・出入口の幅員の基準
通路及び出入口の幅員には、次のような基準があります。
1.日常生活空間内の通路の幅員
日常生活空間とは、高齢者等の利用を想定する玄関、便所、浴室、脱衣室、洗面所、食事室、特定寝室、特定寝室と同じ階にある居室、バルコニーやそれらを結ぶ経路のことをいいます。
日常生活空間相互を結ぶ通路の有効な幅員を780mm以上(柱等の箇所は750mm以上)を確保します。
2.日常生活空間内の出入口の幅員
特定寝室とは、現在又は将来、高齢者等が就寝のために使用する部屋をいいます。
玄関・浴室の出入口の幅員を定める他、通常、各部屋の出入口の幅員は750mm以上(両側の枠を含め)確保します。
⑤寝室・トイレ・浴室の基準
浴室は、短辺の内法寸法1300mm以上かつ面積が内法で2㎡以上必要となります。
トイレは、長辺の内法寸法1300mm以上確保又は、便器の前方か側方に500mm以上確保とし、かつ便器を腰掛け式とすることが基準になります。
そして、特定寝室の面積は内法面積で9㎡以上確保する必要があります。
そもそも、「性能基準」とは?
「性能基準」とは、「住宅性能表示制度」という全国共通に定めらた基準の項目のことです。 “工房信州の家”でも、この「性能基準」に則り、一定の性能が満たされているか検討を行います。 工房信州の家では、必須の評価項目であり、長期優良住宅の評価項目でもある①構造の安定、③劣化の軽減、④維持管理・更新への配慮、⑤温熱環境について評価しています。 |
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