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小さなお金を積み重ねて家づくり予算を導く!資金計画の考え方【家づくりガイド】

鷲澤 仁美 鷲澤 仁美
2020/03/04(水) 家づくり

家づくりの計画をはじめるにあたり、誰もが心配になるのがお金の話だと思います。

失敗しない家づくりのために、資金の計画を正しく行うことは大前提。
しかし、ほとんどの方にとって家づくりは人生で初めての大きな買い物です。
資金計画は大切だと分かっていても、一体どのように計画を立てたら良いのか分からない、全体像が把握できない‥という方も多いでしょう。

家づくり資金を考えるときのポイントは、想像しやすい小さなお金をもとに、それを積み重ねて総予算を導き出すことです。

そのための視点は、全部で3つ。
1.総費用を知る 2.身近な金額から予算を立てる 3.LCC(ライフサイクルコスト)を考える です。

ポイントは、3つ

ポイント1 総費用を知る

ポイント2 身近な金額から 予算を立てる

ポイント3 LCC(ライフサイクルコスト) を考える

 

ポイント1 総費用を知る

諸費用の占める割合は、総費用の5~15%!

家づくりにかかる費用は、建築費用と土地購入費用だけではありません。
家づくりをするとき避けては通れないもろもろの「諸費用」は、一般的に総費用のうちなんと5~15%もの割合を占めるのです。
ひとつひとつが小さな金額だとしても、これを見落としたまま計画を進めると、想定外の諸経費が積み重なって気づいたときには予算オーバー‥という結果になりかねません。

計画を始める前にまず、あなたにはどんな諸費用が必要なのかを知っておきましょう。

特に、土地に関わる諸経費はあなたの建築形態に応じて大きく異なります。
具体的に3つの形態別に一般的な諸費用をまとめました。ただし、状況によって条件が異なることもありますので、土地の目星がついた時点できちんと確認しましょう。

土地取得と整備にかかる諸費用

 

土地に関わる諸費用がおさえられたら、次は建物に関わる諸費用です。
建物の諸費用は、どのような建築形態の方でもほぼ共通です。

住宅建設にかかる諸費用

 

また、多くの方が利用する住宅ローン。これにかかわる諸費用もまとめると大きな額になります。
ただ保証料や保険料などは万が一の時の大きな安心材料になりますので、しっかりと内容を精査しましょう。

住宅ローンの借入にかかる諸費用

 

その他の諸費用はご希望によって大きく異なりますが、下記のような項目も考えておきたいですね。

・家具・カーテン購入費用 ・外構工事費用

 

 

ポイント2 身近な金額から予算を立る

イメージしやすい身近な金額をもとに考えましょう

家づくりにかかる総費用にどんなものがあるかが分かったら、次はあなたがどれくらいの予算での家づくりをするか計画してみましょう。

全額をお手持ちの貯蓄から支払う方であれば予算も検討がつくでしょうが、全額自己資金でという方はめったにいらっしゃいません。
ほとんどの方が予算の大半を住宅ローンでまかないます。

では、あなたは一体いくらの住宅ローンを組むのが適当か?と聞かれて、すぐにイメージができる方は多くはないと思います。
2000万円、3000万円‥という大きな金額を、20年、30年‥という長期間にわたって返済していくのですから、イメージがつかないのも当然です。

住宅ローンの計画を立てるときには、総額で考えるのではなく、もっと身近なイメージしやすい金額から逆算して考えていくと、自ずと無理のない総予算が導き出せます。

「今の家計」から考える

あなたは今アパート暮らしでしょうか?
今、家賃として支払っている金額をそのままローンの返済にあてると考えてみましょう。
他にも、何気なく払っている月々数千円の共益費や駐車場代も忘れずに挙げましょう。月々ほんの4,000円の返済が、約100万円の借入予算になります!

また住宅財形や月々貯蓄をしている金額からは、どのくらいローン返済にあてられそうですか?
今の家計を見直すと、無理のない月々返済額が見えてくるはずです。

この返済額を月々払っていくとすると、一体いくらの借入をしていることになるのか?と逆算して考えれば、無理のないローン計画が立てられます。
次の計算式に当てはめて、借入額を算出してみましょう。

なお、ここでは分かりやすく月々均等に返済をした場合の計算式となっていますが、実際にはボーナス払いを併用した返済をされる方が多くいます。
月々の返済にプラスしてボーナスからどの程度の返済ができるかによって、希望の借入額とのバランスをとることができますね。

借入可能額を、今の家計から 計算してみましょう

借入可能額を、今の家計から 計算してみましょう

借り入れ可能額はいくらになりましたか?今の家計でも、これだけ大きな金額を借りられるのだと驚かれた方もいるのではないでしょうか。

「もっと自己資金を貯めてからでないと‥」と、家づくりのタイミングを先延ばしにされる方もいらっしゃいますが、消えていくだけの家賃を払いながら貯蓄に精を出すより、同じ金額を返済にあてたほうが断然有利であることが分かるはずです。
住宅ローンのことを考えれば、早い時期に、長い返済年数で、無理のない額の返済を月々はじめていけると理想的ですね。

「年収」から考える

今の家計から、あなたが「いくら返していけるか」が見えてきたでしょうか。
次にもう一歩踏み込んで、客観的に見てあなたが一体「いくら借りられるのか」を考えてみましょう。

国土交通省が発表した「民間住宅ローンの実態に関する調査結果」によると、各金融機関における住宅ローンの審査では次の項目が特に重視されています。

住宅ローン審査で重視される点

  • 借入時年齢
  • 完済時年齢
  • 勤続年数
  • 年収
  • 返済負担率
  • 担保評価
  • カードローン等、ほかの債務状況や返済履歴

これらの審査基準の中で注目したいのが返済負担率です。
返済負担率とはあなたの年収に占める年間のローン返済額の割合のことであり、つまりあなたの年収から借入可能額(限度額)の見当がつけられるのです。
返済負担率の設定値は各金融機関によっても異なりますが、一般的に25~35%となります。

それでは、実際に次の計算式で借入可能額を算出してみましょう。
ちなみにここでいう年収とは額面年収(税引き前の金額)を指しています。
他に何かのローン(車など)の支払いをしている場合には、その返済額を差し引いて考えましょう。

借入可能額を、今の年収から 計算してみましょう

借入可能額を、今の年収から 計算してみましょう

今回は負担率を少し厳しい割合(25%)で計算してみました。
つまり、他の条件を度外視して返済負担率だけで考えれば、ここで算出された借入可能額の範囲内であればおおむね安心してあなたが「貸してもらえる金額」だと判断することができるでしょう。

 

ポイント3 住まいのLCC(ライフ サイクルコスト)を考える


建てて終わりではないからこそ

ここまで新築時に必要な予算の出し方について考えてきました。
せっかく豊かな生活を求めて家を建てるのですから、その一歩目でつまづかないことはもちろん大切です。

しかし、家は建てて終わりではありません。
住まいを手にした後も、月々のエネルギー消費やお手入れなど、維持するための費用をかけ続けることになります。

このように物ができてから無くなるまでの全期間に要する費用を「ライフサイクルコスト(Life cycle cost:LCC)」と呼びます。訳語として「生涯費用」とも呼ばれます。
LCCは建物に限らず様々な製品において重要となる考え方ですが、特に住宅は長い年月をかけて子や孫の世代にまで住み継いでいくべきものですから、長期的な視点で考えることはとても重要です。

LCCの中では初期建設費用である「イニシャルコスト」よりも、光熱費・保全費・改修費などの「ランニングコスト」のほうが最終的に大きな額になるケースも多くあります。
こうした考えに立てば、購入時の単純な見積りの比較のみならず、将来まで見据えた総費用で住宅の価値を判断することが大切であると気づきます。

例えば建物の耐久性や耐震性・省エネ性などの本質的な性能の高さがLCCに優れた住宅へとつながります。
いくらイニシャルコストの安さにつられて住宅を選択したとしても、お住まいになってから過度にランニングコストがかかるような住宅では元も子もありませんね。

LCCのうち、見落としがちな「ランニングコスト」への視点を家づくりの計画段階から持っておきましょう。

LCCに優れた住宅

 

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環境共生型の住まいで、省エネと快適性を実現します

ランニングコストの中でも大きな要因となる光熱費。
毎月の光熱費負担の少ない省エネの住宅にするには、大きく二通りの考え方があります。
ひとつは断熱性・気密性をできる限り高めて、外界から隔離することで空調の効きを良くするという、バブル経済成長期以降に主流となった欧米型の手法。
もうひとつは通風などの自然エネルギーを上手に活用して空調に頼らない、日本古来の環境共生型の手法。

考え方はそれぞれですが、信州に暮らすことを考えれば、豊かな自然エネルギーを上手に活かす住まいが最適だと私たちは考えています。
きれいな空気と豊かな自然に満ちた信州で、高気密高断熱の住宅のなかで外界から遮断された環境で暮らすことは、本当に快適だといえるでしょうか。

 

ここでお伝えしたい快適性とは、なにも感覚だけの話ではありません。
最近の研究によって、室内の快適性は空気温度だけでは評価できないことが学術的にも実証されてきました(東京都市大学環境情報学部 宿谷教授など)。

例えば夏場に焦点を当てると、エアコンのような対流冷房によって室内空気を冷やすよりも、自然エネルギーを基本に室内条件を整える方法を追及するほうがより高い快適性を実現でき、さらにエネルギー使用量も大幅に削減できる可能性があるのです。

エアコンは気流速が毎秒0.15m以上になると不快に感じるため、それ以上気流を強めることはできません。
一方、自然通風で心地よく感じる「そよ風」は気流速が毎秒0.2~0.8mのあいだでゆらいでいます。

エアコンで空気温を制御した空間では住まう人の発汗機能が不全になりやすいのに対し、自然通風がある空間では皮膚表面で発汗・発熱が起きやすく体温を調節する機能が働きます。
これにより自然通風の空間であれば、真夏日の外気温がそのまま室内に流れてきても、その風が発汗で湿った肌をなでるだけで汗の蒸散作用によって涼しさが感じられます。
機械で温度を下げ数値で室内環境を管理するのではなく、数値では想定できない体本来の「涼しさ」感覚を引き出して快適に過ごすことができるのです。

この効果は、信州の湿度の少ないさらりとした風ではなおさらだと思います。
この自然通風による効果を上手に活用するため、プランニングから風の通り道を考えることで快適性は随分と変わります。

風の通り道を考えたプランニング

また、「自然通風は理想だが、窓を開けても熱風が入るだけ」と思われる方もいらっしゃいます。
その不快感は、窓の外がアスファルト道路やコンクリートなどで放射熱に囲まれていることが考えられます。
窓ガラス面の室外側の遮熱対策、具体的には簾や軒庇、植栽(緑のカーテン)などを活用することで、室内に入り込む通風の快適性をぐっと高めることができます。

さらに、室内の発熱体もなるべく少なくすることが大切です。
例えば蛍光灯の発熱量は、冬の電気ヒーターをオンにしているのと同じくらいになることをご存知ですか?
日照率の高い信州では、住まいのつくり方次第で昼間は照明に頼らず自然光だけで十分明るく過ごせます。
自然の明るさが家全体に、北面のお部屋にまで届くよう、光の取り入れに配慮したプランニングが肝心です。

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