住宅の壁の素材として使われることも多い珪藻土。
湿気を吸収してくれる自然素材であることが人気で、最近ではバスマットやコースターなど、建材以外にも小物などさまざまな素材として活用されています。
そんな珪藻土ですが、具体的にはどのような特徴やメリット・デメリットがあるのでしょうか。ご紹介していきます!
INDEX
- そもそも珪藻土とは?
- 珪藻土と漆喰の壁材の違いは?
- 珪藻土と漆喰の仕上がりの違いは?
- 家の壁を珪藻土にする方法と費用は?
- 珪藻土の壁のお手入れ方法について
- 自分でDIYするときの手順や注意点
- 珪藻土の壁の施工事例
- まとめ
そもそも珪藻土とは?
珪藻土とは?
そもそも珪藻土とはどのような素材なのでしょうか。
珪藻土に含まれる「珪藻」とは、藻類に分類される生物「植物性プランクトン」の一種です。
この珪藻が、海底や川底などに堆積することで化石となり、珪藻土ができあがります。
珪藻土には無数の微細な気孔があるため、通気性に優れています。
さらにそれだけでなく、耐火性や吸水性、保湿性、調湿性や撥水性などさまざまな面で優れた効果をもっています。
また、自然素材であるため人体にも悪影響がなく、とくに自然素材の家を建てたい方から人気があります。
珪藻土壁の模様の種類
珪藻土を壁に用いる場合、左官職人が手作業で塗り上げて仕上げます。
仕上げに使うコテの種類や塗り方の技術によって、さまざまな模様をつけることができます。
ここでは、塗り壁の代表的な模様のパターンをいくつかご紹介しますので、自分の好みの模様を探してみてください。
ラフ仕上げ
珪藻土を壁に塗ったあと、あえて平らにせずに自然に厚みのある部分をところどころ残しておくのがこのラフ仕上げになります。
乾燥する前に材料を盛り付け、仕上げに表面を整えることで壁を仕上げます。
無造作ながらも自然でおしゃれな見た目になります。
コテ波仕上げ
コテ波仕上げとは、コテで塗った跡をあえて自然の状態のまま残しておく仕上げの方法になります。
規則的に塗ってある壁も美しいですが、コテの塗り跡がデザインの一部として残るのも味わいがあります。
左官職人の手仕事が目に見えて、工業化住宅ではなく職人が建てる家に魅力を感じる方に人気があります。
ヒキズリ仕上げ
横長の凹凸を模様としているのが、ヒキズリ仕上げです。
角柄のコテの先端を押しつけるだけで模様を付けることができるため、初心者でDIYの壁をつくりたいという人にもおすすめの模様です。
ウェーブ仕上げ
ウェーブ仕上げとは、30~40cmくらいの太めの横縞を壁につけた模様のことです。
洋風な家の壁にもよく似合うデザインのため、壁の模様として根強い人気があります。
模様なし仕上げ
その名のとおり、まったく模様を付けずに平坦な壁に仕上げたものです。
シンプルな壁にしたいという人や、壁にスクリーンを投影させたい人などから人気があります。
シンプルな出来の分、塗りの良し悪しが出やすい壁であるのも特徴です。
吹きつけ仕上げ
吹きつけ仕上げとは、その名のとおり珪藻土を壁に吹き付けてつくる壁の模様のことです。
コテや刷毛を使用しないため、細かな凹凸を壁の模様にすることができます。
珪藻土と漆喰の壁材の違いは?
自然素材の壁材で、珪藻土と並んで人気なものに漆喰があります。
どちらも塗り壁で、見た目も似ていますが、それぞれどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。さっそくみていきましょう。
珪藻土の壁材のメリット・デメリット
珪藻土のメリットは、耐火性や吸水性、保湿性、調湿性、撥水性などさまざまな面で優れた効果を発揮することです。
これだけ多くのメリットがあるため、珪藻土は住宅の壁材としてぜひおすすめしたい素材です。
とくに、家の劣化につながる最大の原因として湿気の問題がありますが、珪藻土は室内の余分な湿度を吸着してくれるため、劣化を防ぐことができます。
それだけでなく、室内が乾燥したときには湿気を放出してくれる作用を持っているため、機械の力を使うことなく、自然に湿度を調節することができます。
具体的には、湿度40%を境に吸湿・放湿を半永久的に繰り返して、室内の湿度環境を快適に保ってくれる効果があるのです。
六畳間の壁に厚さ3mmで珪藻土を塗ると、なんと一升瓶1本近くの水分を吸収できる効果もあり、調湿効果としては備長炭の4~6倍もあるといわれています。
こうした機能面だけでなく、珪藻土は好みに応じて色づけすることもできるため、自分の好きなカラーでコーディネートすることができ、デザイン面でも人気があります。
一方、デメリットとしては、乾燥によってひび割れを起こすことがあるというものが挙げられます。
ひび割れが起きると、傷が目立つだけでなく、壁材がぽろぽろと剥がれ落ちてくるため掃除が大変となります。
壁材が剥がれてしまった場合は、上から固化材を塗って傷を目立たなくさせることができます。
漆喰の壁材のメリット・デメリット
珪藻土と漆喰の最大の違いは、原料の違いにあります。
珪藻土が植物プランクトンを由来としているのに対し、漆喰は珊瑚礁に由来しています。
奥行きのある白色が特徴的で、空気中の二酸化炭素と反応して固まっていく特徴があります。
漆喰の壁材をよく見かけるのは、日本のお城です。
この日本のお城をみてもわかるとおり、漆喰には経年変化がほとんど見られないため、長期的に安定して同じ色合いを楽しみたい方には漆喰がおすすめです。
デメリットとしては、職人の手で塗っていくため、一般的なビニールクロスなどに比べて工期が長くなり、工費も割高になることが挙げられます。
珪藻土と漆喰の仕上がりの違いは?
珪藻土と漆喰の材料や効果の違いについて見てきましたが、仕上がりの違いはあるのでしょうか。
珪藻土はざらざらとした粒感が見えるのが特徴で、陰影が見えやすいため温かみがあります。
一方で漆喰はつるつると滑らかな質感が特徴で、白さが際立ちます。
壁は部屋の中でも面積が広いので、好みや部屋のテイストによって選ぶのも大切です。
珪藻土
漆喰
家の壁を珪藻土にする方法と費用は?
家の壁を珪藻土にする方法には、主にどのような方法があるのでしょうか?
ここでは、代表的な3つの方法をご紹介しますので、自分にあった方法を探してみてください。
塗り壁の施工を行う会社に依頼
珪藻土の壁にする方法の一つ目は、塗り壁の施工を行う会社に依頼することです。
珪藻土は塗り壁であるため、左官職人の手でひとつひとつ塗り上げられ、仕上がりの美しさや模様は職人の技術によって大きく変わります。
これから新築住宅を建てたいという方で、珪藻土の壁にしたいという方は、信頼できる腕のよい職人さんが施工してくれる会社を選ぶようにしましょう。
実際に、展示場やモデルハウスを見学して壁のパターンをみたり、スタッフの方に直接聞いてみるのもおすすめです。
自分でDIY
珪藻土の壁を、自分で塗ってDIYするのもおすすめです。
全ての壁を自分で塗るのは大変ですが、壁の一部を自分で塗ることで、家に思い出もできるうえ愛着も湧き、世界でひとつだけの壁に仕上げることができるでしょう。
壁紙の上からローラーなどで塗ることができる珪藻土材も市販されていますので、気になる方は試してみてはいかがでしょうか。
珪藻土壁紙を使用する
珪藻土の塗り壁は、ひとつひとつ手作業で仕上げていくため、工期や費用も高くなりがちです。
もっと手軽に珪藻土の壁を楽しみたいという方には、珪藻土壁紙もおすすめです。パルプ、寒水石(大理石)、蛭石、オガクズといった素材を下地として、珪藻土のコートを施した壁紙です。
珪藻土の塗り壁に比べて費用もかなり安く抑えられるほか、工期が短縮できるといったメリットもあり、手軽さを重視するならおすすめしたい選択肢のひとつです。
珪藻土の壁のお手入れ方法について
珪藻土の壁が汚れてしまったときには、どのように手入れをおこなえばよいのでしょうか。
まずは、表面についた軽い汚れやシミのお手入れについてご紹介します。
手垢や物がこすれてできてしまった軽い汚れは、消しゴムを使えば簡単に落とすことができます。コツは、力を入れずに軽くこすって消すことです。
また、表面のみに付いた程度のシミ汚れであれば、目の細かいサンドペーパーなどで表面を薄く削るだけで汚れを落とすことができます。
もし、壁にコーヒーや醤油などをかけてしまい汚れが深く浸み込んで締まった場合は、漂白剤を薄めて浸み込ませることで、壁を白色に戻すことができます。
ただし、ここで注意したいのは色味の付いたカラータイプの珪藻土壁の場合です。カラータイプの場合は珪藻土の色素まで脱色してしまわないよう、できる限りサンドペーパーでシミを削り落とし、そのうえで上塗りするのがおすすめです。
自分でDIYする場合の手順や注意点
ここからは、珪藻土の壁を自分でDIYする際の手順や注意点をまとめていきます。
自分好みの壁がつくれるよう、しっかりとコツや手順をおさえておきましょう。
珪藻土塗りに必要な道具・材料
まずは、珪藻土の材料についてです。
用意する珪藻土の種類には練り済みタイプのものと、粉末タイプのものがあります。
練り済みタイプとは、その名のとおり、すでに練った状態で売られている珪藻土のことです。
開封後にすぐに使えるため、手軽に使用できます。
一方、粉末タイプのものは、自分で水を加えて練る珪藻土です。
手間がかかりますが、自分の必要な分だけ作れたり、長期保存ができるため、少量ずつ壁に塗りたい場合などに適しています。
これらはホームセンターやアマゾンなどの通販で仕入れることができます。
珪藻土の材料が準備できたら、道具を準備しましょう。
塗るために必要な道具としては、以下のとおりです。これらの道具は、ホームセンターなどに売っていて、簡単に準備することができます。
- 珪藻土を練るための道具
バケツ・水・珪藻土用の容器 - 珪藻土を壁に塗るための道具
コテ・コテ版・ヘラ・スポンジ - 下地用の道具
ローラー、下地剤
珪藻土DIYの手順
ここからは、珪藻土を実際に自分で塗っていく方法についてご紹介します。
①養生する
まず、珪藻土を壁に塗る前に、他の場所が珪藻土で汚れてしまわないように周りを養生しましょう
。壁の巾木の部分やコンセント・スイッチといった部分にはマスキングテープで養生するのがおすすめです。
また、床にはテープ付きの養生シートを敷くことで、汚れがつくのをあらかじめ防ぐことができます。
②下地処理を施す
珪藻土材や壁の種類によっては、下地処理が必要な場合があります。
そういった場合には、ローラーを使って下地材を全体に塗ります。
塗り終わったら、完全に乾くまで時間をおいておきましょう。
③珪藻土を練る
下地処理がおわったら、粉末タイプの珪藻土を使う場合はここで水を加えて珪藻土を練っておきましょう。
コツは、少しずつ水を加えて練っていくことです。こうすることで、珪藻土材がダマになることなく混ぜることができます。
攪拌機を所有している場合は、そちらを使用して練ると楽に混ぜることができます。
④珪藻土を壁に塗っていく
ここからは、実際に珪藻土を壁に塗っていく作業です。
あらかじめ準備しておいたコテやヘラを使用して、自分好みのデザインに塗っていきましょう。
できる限り、全体が均一な厚みになるように注意して塗りましょう。
デザイン的に二度塗りをしたいという方は、一度目は薄く塗るようにしておきましょう。
⑤二度塗りをする
自分のつくりたいデザインによっては、二度塗りをする必要があります。
二度塗りをする場合は、一度目に塗った場所が乾き切る前に壁を塗るようにしましょう。
⑥乾く前に養生を外す
珪藻土を全体に塗り終わったら、壁が乾く前に養生を外しておきましょう。
乾いたあとで養生を剥がすと珪藻土が剥がれ落ちてしまう場合があるため、必ずこの段階で養生を剥がすようにしましょう。
⑦珪藻土を乾かす
珪藻土は、完全に乾くまでに約2、3日ほどを要します。
乾くまでは表面が柔らかい状態であるため、壁をこすってしまわないように気を付けましょう。
壁に扇風機の風を向けたり、窓を開けて風をあてたりしておくと早く乾くのでおすすめです。
珪藻土に関する注意点
珪藻土をDIYで塗る際は、いくつか注意点がありますので、しっかりと押さえておきましょう。
まず、DIYで珪藻土を塗った場合、数年後にカビが生えてしまうことがあります。
これは、結合材というつなぎを使用して塗った場合にしばしばみられる現象です。この結合材が合成樹脂など安価な素材で作られている場合、珪藻土の利点である湿度調節をしてくれる穴が埋まってしまい、調湿効果が発揮されなくなってしまうことがあります。
さらに、調湿できる穴をふさいでしまうことで湿気がこもり、数年後にカビが生えてしまう場合があります。
こういった事態に陥らないためにも、結合材を利用する場合はなるべく自然素材のものを利用するように注意しましょう。
次に、壁を塗るという行為は、思いの外労力がかかり、作業が大変であるという点です。
とくに土壁や砂壁、剥がれかけたクロスの上などに珪藻土を塗る場合は、下地を塗る段階で大変さに気づき、諦めてしまう場合も少なくありません。
こういった事態を避けるために、大がかりな壁を塗る場合はやはりプロの業者や職人に任せるのが得策であるといえるでしょう。
自分で塗りたいという場合も、壁の一部分だけを塗るなどにとどめ、長く住み続ける家であるからこそ、信頼できる業者に頼むことも検討してみてください。
珪藻土の壁の施工事例
ここでは、実際に珪藻土壁を使った家を見ていきましょう。
珪藻土は塗り方やカラーを変えることが出来ることもメリットの一つです。仕上げ方によってガラッと変わる印象に注目です。
施工事例1
キッチン背面の壁を珪藻土のひきずり仕上げとしました。
珪藻土の塗り仕上げの中でも凹凸の大きいひきずり仕上げは照らされると陰影が際立ち、周囲の珪藻土壁とは全く異なる印象を持たせます。
広々としたリビングダイニングキッチンのアクセントとなり部屋全体が引き締まります。
趣味のお酒コレクションを飾り、まるでバーのような大人なキッチンに仕上がりました。
施工事例2
寝室の一面をグレーの珪藻土塗りとした例です。͡
彩度の低いカラーと板張りの天井により、落ち着いた寝室となっています。
コテ跡は控えめにつるりとした質感に仕上げ、シャープな印象の間接照明やブラインドとも相まってモダンな印象です。
部屋の一面だけでもカラーを変えるとガラリと印象が変わりますよね。
施工事例3
リビングダイニングから吹き抜けの全ての壁と天井を珪藻土の塗り放し工法で統一した例です。
空間に切れ目がないため広がりを感じられます。外から入る日の光も反射し、明るくすっきりとした室内空間になっています。
面積の大きい壁や天井が白で統一されているので飽きが来ることなく、どんなテイストの部屋にもよく合います。お好みの家具や小物を置いて部屋をアレンジすることも可能です。
まとめ
珪藻土の壁は家族の健康という面でもメリットが多く、ぜひ住宅に取り入れたい壁の種類です。
ぜひ、住宅の購入を検討されている方は、珪藻土の壁を使った家を検討してみてはいかがでしょうか。
また、長野県で無垢材を使用した新築住宅をご検討の方は、ぜひ私たちフォレストコーポレーションにお問い合わせください。
信州産の無垢材を80%以上使用した工房信州の家を、お客様のご要望に合わせてご提案いたします。
壁はすべて今回ご紹介した珪藻土の塗り壁を使用します。
完全自由設計の家ですので、お客様と一緒に納得のいくお家づくりのお手伝いをさせて頂きます。気になる方は、お気軽にご相談ください。
私たちは設計士や施工管理士といった建築のプロでありながら、全社員が「信州コンシェルジュ」として豊かな信州ライフをサポートしていきます。
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